緑内障手術
緑内障手術のについて
緑内障手術は主に、眼圧を下げる手術となります。緑内障の進行の程度や、タイプによって術式が変わります。当院ではレーザーで眼圧を下げるマイクロパルス毛様体光凝固術、プリザーフロマイクロシャントによるインプラント手術、線維柱帯切開術(トラベクロトミー)に対応しております。
緑内障治療の第一選択は薬物治療ですが、
- 薬物治療でも眼圧が下がらない場合
- 薬物治療が奏功しても緑内障が進行する場合
- 点眼管理が困難であったり、薬剤アレルギーがある場合
等では、レーザー治療や手術療法を行います。当科では様々な手術を行うことが可能です。
レーザー治療は、線維柱帯にレーザーを照射して房水の流れを改善し、眼圧を下げるマイクロパルス隅角線維柱帯形成術:MLTを行っております。
手術が必要となる患者様の多くは隅角線維柱帯での房水の流れが悪くなることが多く、主に線維柱帯をターゲットとした手術を行っております。
緑内障手術の種類
マイクロパルスレーザ線維柱帯形成術(MLT)
眼圧を形成する房水の出口である線維柱帯というフィルターにあたる部分に房水の流れを改善し、眼圧を下げることを目的とします。
初期の緑内障における眼圧改善、点眼本数の軽減が狙えます。
当院ではLTP(レーザートラベクロプラスティ)の中でも低侵襲のマイクロパルスレーザー機器(IQ677)で、安全かつ繰り返し施術が可能です。MLTは線維柱帯の有色素細胞のみを選択的に傷害し、線維柱帯の基本的構造に影響を与えません。また、選択的線維柱帯形成術(SLT)は一過性に眼圧上昇が起こることがあるのに対し、MLTはそのような合併症が少ないと報告されており、他機種に比べても低侵襲と言えます。
合併症:まぶしさ、一過性の調節不全(ピントが合いにくくなることがあります)
経毛様体光凝固術(MPTLT・CWCPC)
白目の部分(結膜)に専用のプローブを当てレーザーを線維柱帯に効かせ、流出抵抗を減らすレーザーです。(MPTLT)
視機能を維持したまま、眼圧を下げることのできるレーザーで近年注目されております。
従来の半導体レーザーによる毛様体破壊術も可能です。(CWCPC)
経毛様体光凝固術は経堂あそう眼科で施術可能です。
- 合併症:疼痛・充血、一過性の調節不全(ピントが合いにくくなることがあります)
トラベクレクトミー(線維柱帯切除術)
眼の外から強膜を切開し、強膜弁を作成をします。露出した線維柱帯を切除し、新たな房水の出口を作成します。強い眼圧下降効果があり、様々な緑内障の形に適応があります。
トラベクレクトミーは経堂あそう眼科で施術可能です。
- 合併症:術後低眼圧、濾過胞炎、乱視の増加、悪性緑内障など
トラベクロトミー(線維柱帯切開術)
房水の流出抵抗を下げる手術です。現在は眼内から手術器具を用いて抵抗の原因である線維柱帯を切開し、新たな房水の出口を作成します。眼圧下降効果はトラベクレクトミーに劣るものの、手術時間が短く、術後の合併症が少ない術式です。また、白内障の併用手術との相性が良い手術です。
- 合併症:術後前房出血、一過性高眼圧など
プリザーフロ®マイクロシャント手術
「プリザーフロ®マイクロシャント手術」は新たな低侵襲濾過手術です。良好な眼圧下降効果をもたらすとともに合併症が少なく、短時間で終了手術します。術後にコンタクトレンズを付けられる可能性がある濾過手術でもあります。当院では本手術の使用承認を受けており日帰り手術が可能です。
- 合併症:術後低眼圧、前房出血、濾過胞炎
チューブシャント手術(緑内障インプラント手術)
他の緑内障手術で眼圧下降が不十分であった症例や、血管新生緑内障や角膜移植後の緑内障など難治性の緑内障の治療を得意とする術式です。眼内にチューブを入れ、チューブの中を通った房水は、眼の後ろに設置したプレートに向かって流れていきます。このような人工的なデバイスを眼に留置するため、インプラント手術と呼ばれます。眼圧下降効果はトラベクレクトミーと同等からやや劣るものの、術後の合併症が少なく長期成績の良い術式です。当院ではアーメド緑内障バルブを用いたプレート付きインプラント手術を日帰り緑内障手術として行っております。ロングチューブシャント手術は経堂あそう眼科で施行可能です。
- 合併症:眼球運動障害、一過性高眼圧など
水晶体再建術併用眼内ドレーン手術
白内障手術と同時に眼内ドレーン(ステント)を挿入します。ステント挿入によって、眼圧を調整する房水の排出が改善され、眼圧が下がる仕組みとなっております。本手術は白内障手術と同時にできる極低侵襲緑内障手術です。
手術の流れ
- 手術日決定
患者様が手術を希望されましたら、まず手術日の調整を行います。患者さんの緑内障の進行具合、ご年齢、ご希望を勘案し、最適な術式を提案いたします。 - 術前検査、手術説明
手術で必要な眼科検査、採血を行いその結果をふまえ、緑内障の手術説明をさせていただきます。緑内障手術には様々な術式があり、それぞれのメリット・デメリットをご理解いただき、術式を決定いたします。 - 手術
日帰りにて手術を行います。予約時間にお越しいただき、手術準備をさせていただきます。手術終了後は眼帯をしてご帰宅いただきます。
使用する医療機器
- IQ577(TOPCON)
マイクロパルス選択的隅角線維柱帯形成術で使用するレーザーです。 - 谷戸式マイクロフック・KAHOOK DUAL BLADE
トラベクロトミーの際、線維柱帯を切開する特殊デバイスです。 - I Stent Inject W(グラウコス)
白内障と同時にできる緑内障手術デバイスです。非常に低侵襲です。 - Hydrus microstent(アルコン) 白内障と同時にできる緑内障手術デバイスです。非常に低侵襲です。
- プリザーフロマイクロシャント(参天製薬)
緑内障インプラント手術(プレート無し)の際に、使用するチューブです。 - PROVEO8(Leica)
緑内障手術Q&A
Q.溝の口あそう眼科の緑内障手術の特徴を教えてください。
A.当院では線維柱帯切開術やプリザーフロマイクロシャントのような緑内障インプラント手術を日帰りで行っております。また、経堂あそう眼科と協力することで、より重症例にも対応し、軽度な緑内障から重症の緑内障まで幅広く治療ができる懐の広さが当院の特徴です。
Q.希望する緑内障手術を行っていただけますでしょうか。
A.緑内障の病型に合う術式がございますので、適応がありましたらご案内は可能ですが、適応がない術式や明らかに日帰り手術が困難な進行度の緑内障の場合は別の術式や入院での緑内障手術をご案内させていただきます。
Q.緑内障術後に入浴は可能ですか?
A.当院では術後2日間はご自身での洗髪・洗顔は禁止しております。ただし首から下の部分のシャワーは短時間の入浴は大丈夫です。
Q.プリザーフロマイクロシャントは術後にコンタクトレンズ装用が可能でしょうか。
A.ケースバイケースです。線維柱体切除術よりも濾過胞の丈が低いので装着できるケースがございます。特にハードコンタクトは当院では術後全員装用可能でした。
Q.院長の手術希望ですが、入院したいです。どうすればよいでしょうか。
A.当院理事長が日本大学医学部附属板橋病院で、兼任講師をしており理事長執刀で入院が可能です。
